アプリに手を入れずOSごと引っ越す「リホスト」は、期限のある移行の主力手段です。AWSでの道具は実質2つ、AWS Transform MGN(旧称:AWS Application Migration Service、MGN)とVM Import。使い分けと、MGNの実際の流れ、そして「MGNで運んではいけないサーバ」を整理します。
01道具は2つ:MGNとVM Import
- MGN — サーバにエージェントを入れ、稼働したままブロックレベルで継続レプリケーション。切替直前まで同期が続くので停止時間を分単位にできる。物理・仮想どちらも対象
- VM Import/Export — 仮想マシンのイメージ(OVA等)を変換して持ち込むオフライン方式。停止時間は長いが、エージェントを入れられない事情があるときの代替
迷ったらMGNです。継続レプリケーションとテスト起動の仕組みが、移行の失敗リスクを構造的に減らしてくれます。
02MGN移行の流れ
- ① 対象サーバにエージェント導入(稼働への影響は軽微)
- ② 初回フルレプリケーション→以後は差分が流れ続ける
- ③ テスト起動 — 本番を止めずにAWS側でコピーを起動し、動作確認。何度でもやり直せる
- ④ カットオーバー — 業務を短時間止めて最終同期→AWS側を本番に昇格
- ⑤ 問題があれば切り戻し(オンプレ側は残っている)
現場のコツ:テスト起動を「1回だけ」で済ませないでください。アプリ担当者を巻き込んで業務シナリオで確認し、直して、もう一度。ここで手を抜いた分は、カットオーバー当日の夜に返ってきます。切替判断の枠組みは移行の5決定を。
03MGNで運んではいけないサーバ
- ドメインコントローラ — 複製で運ぶと事故のもと。AWS側で新規にDCを昇格させ、ADの複製機能で同期するのが推奨されることが多い
- データベース — 動きはしますが、ネイティブ手段(ダンプ/レプリケーション/移行ツール)の方が整合性の検証がしやすく、RDS化の好機でもある
- 共有ディスク型のクラスタ — 共有ディスク前提のHA構成はそのまま持ち込めない。AWS流の冗長化(Multi-AZ)に設計し直す
04事前に潰しておくポイント
- OSがMGNのサポート対象か(特に古いWindows/Linuxは要確認)
- 固定IP・ホスト名をハードコードしたアプリの洗い出し(Windows移行の落とし穴も参照)
- Windowsのライセンス認証経路の切り替え
- レプリケーション用の帯域——対象本数×データ変更量で見積もり、業務帯域を圧迫しない設計に
05リホストは「終わり」ではなく「始まり」
リホストで移したサーバは、オンプレの設計をまとった仮住まいです。移行後の最適化(インスタンスの世代・サイズ適正化、EBS見直し、マネージドサービスへの置き換え)を半年以内に回す前提で計画してください。「移して終わり」の環境は、オンプレより高いクラウドになりがちです。
EMWは、ホスト移行を含むリホスト案件を計画からカットオーバー当日の実施まで一貫して支援しています。テスト起動の設計と切り戻し判断こそ、経験値の差が出るところです。
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