ホストやオンプレのバッチを移した後、次に来るのが近代化です。AWS Batch・EventBridge・SQS/SNSを使えば、密結合だったジョブ網を疎結合でしなやかにできます。ただし——全部を疎結合にすると、今度は「順序が保証されない地獄」が待っています。効くところに効かせ、守るべき順序は守る。その線引きを設計します。

01道具を3つ揃える

02疎結合化とは「直接呼ばない」こと

オンプレのバッチ網は密結合です。ジョブAが終わったらジョブBを直接起動し、Bが失敗すると後続が全部倒れる。疎結合化は、この直接のつながりをイベントやキューを介した間接のつながりに置き換えることです。ジョブAは「終わった」というイベントを出すだけ。誰がそれを受けて何をするかは、受け手側が決める。

03効くパターン4つ

04正直な線引き — 疎結合にしすぎない

ここが本記事の肝です。疎結合は万能ではありません。厳密な順序と一貫性が要る処理を無理に疎結合にすると、順序保証・重複排除・整合性のために、かえって複雑な作り込みが必要になります。

現場のコツ:判断基準はシンプルです。「並列化・回復力・負荷吸収で得をする処理」は疎結合に。「順序と一貫性が命の処理」は素直に順序制御で。かっこいいアーキテクチャのために全部をイベント駆動にするのは、COBOLの密結合を別種の地獄に置き換えるだけです。

05移行の順番 — 密結合のまま移して、効くところから疎に

近代化の進め方も、バッチ移行の総論と同じです。まず密結合のまま(EC2続投やStep Functionsでの素直な順序制御で)移行を完遂し、そのうえで「並列化で夜間枠を縮めたい」「ファイル連携をイベント駆動にしたい」という効果の見えるところから疎結合を入れる。全面的な作り替えを移行と同時にやると、問題の切り分けができなくなります。

まとめ

AWS Batch・EventBridge・SQS/SNSは、バッチをしなやかにする強力な道具です。ファイル到着駆動・定時・負荷平準化・ファンアウトで、密結合の弱さを解消できる。ただし、順序と一貫性が命の処理まで疎結合にすると、別種の複雑さを招きます。効くところに効かせ、守るべき順序は素直に守る——この線引きこそが、バッチ近代化の設計力です。

バッチ近代化(AWS Batch・EventBridge・疎結合化)の設計は、「どこを疎に、どこを順序制御で守るか」の見極めが肝です。EMWは移行と近代化を段階的に進め、作り替えのリスクを抑えたご提案をします。

相談する
← ブログ一覧へ戻る