オンプレとAWSをつなぐ回線は、移行プロジェクトの序盤で必ず決めることになります。答えを先に言えば、「まずVPNで始めて、本番トラフィックの実態が見えたらDirect Connectを判断、最終形はDX+VPNバックアップ」が王道です。それぞれの性格を押さえましょう。
01Site-to-Site VPN:即日つながる、ただしインターネット品質
既存のルータ(またはファイアウォール)とAWSの間でIPsec VPNを張る方式です。強みは速さと安さ——申し込みのリードタイムがなく、その日のうちに疎通でき、費用は月数万円規模。弱みは経路がインターネットであること。帯域は1トンネルあたり最大1.25Gbps(Standard)が目安で、Transit Gateway/Cloud WAN接続かつLarge Bandwidth Tunnel利用時は最大5Gbpsまで拡張可能。ただし実効値は経路のインターネット状況やCGW性能に左右されます。遅延・揺らぎもインターネットの状態に左右されます。移行作業・検証・小規模な本番連携なら十分です。
02Direct Connect:専用線の品質、ただし準備が要る
DXは専用線品質でAWSにつながる方式で、帯域と遅延が安定します。占有型(1G/10G〜)のほか、パートナー回線を分け合う共有型(ホスト型接続)があり、中規模環境の現実的な入口は共有型です。リードタイムは数週間〜が普通なので、「本番切替の日程から逆算して早めに申し込む」がプロジェクト管理上の要点になります。
03選定の軸は3つ
- 常時トラフィック量 — 日次連携のデータ量から必要帯域を逆算(転送時間ツールで「夜間バッチ枠に収まるか」を計算)
- 品質要件 — 業務時間中の対話型通信(画面転送・DB参照)が多いなら、遅延の安定するDXの価値が大きい
- 移行期か常設か — 移行期だけの大量転送はDataSync+VPNや物理輸送で凌ぎ、常設回線は本番トラフィック基準で選ぶ
04冗長構成の定番:DX+VPNバックアップ
本番の基幹連携をDX1本に載せるのは、専用線といえども単一障害点です。定番はDXを主、VPNを待機にしてBGPで自動切替する構成。より高い要件なら、DXをロケーションを分けて2本引きます。私たちが運用している大規模環境でも、DX複数本+VPNバックアップが標準形です。
05忘れがちな2つ
- DNS設計 — オンプレとAWSの名前解決をどう相互に通すか(Route 53 Resolverのインバウンド/アウトバウンドエンドポイント)。回線がつながっても名前が引けなければ業務は動きません
- 経路とIP設計 — オンプレ網とVPCのCIDR重複は後から直せない事故。アドレスプラン設計ツールで重複しないレンジを最初に確保してください
回線選定は「今の連携一覧と帯域の実測」があれば精度高く判断できます。EMWでは接続設計(VPN/DX/冗長・DNS・経路)を移行計画とセットでご提案しています。
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