オンプレからの移行サイジングで最初に困るのが、ストレージです。オンプレの性能は「SAS 15,000rpm×8本のRAID6」のように回転数とRAID構成で語られ、AWSの性能は「gp3で3,000 IOPS」のようにIOPSとスループットで語られる。単位が違うので直接比較できません。この記事は、その翻訳表です。

01回転数→IOPSの換算表(1本あたりの目安)

機械式ディスクのランダムI/O性能は、ほぼ回転数で決まります。実務で使われてきた目安は次のとおりです。

注意すべきは、これはランダムI/Oの数字だということ。シーケンシャル読み書きなら7,200rpmでも120〜180MB/s程度出ます。つまり「遅いディスク」でもバックアップやログ書き込みでは意外に働いていた、ということが移行時の性能見積もりを狂わせます。

02gp3が1本で、7,200rpm約30本分

EBS gp3のベースラインは容量と無関係に3,000 IOPS・125MB/sです。ランダムI/Oでいえば、7,200rpm換算で約30本、15,000rpm換算でも約15本のRAIDグループに相当します。オンプレで筐体を並べて稼いでいた性能が、ボリューム1個のデフォルト値で出る——ここが翻訳の出発点です。

逆に、大容量のシーケンシャル一本勝負(数百MB/sをHDDアレイのストライプで出していたケース)では、gp3のベースライン125MB/sが下回ることがあります。この場合はgp3のスループットを追加購入(最大2,000MiB/s。8,000 IOPS以上・16GiB以上で到達。Outposts環境では1,000MiB/s)するか、EBS選定記事で解説したst1も候補になります。

03RAIDグループの「実効IOPS」を計算してから比較する

現行構成の性能は、ディスク単体ではなくRAIDグループの実効値で見ます。読み取りはおおむね本数分が効きますが、書き込みにはRAIDペナルティがかかります(RAID10=2、RAID5=4、RAID6=6)。

例:NL-SAS 7,200rpm(85 IOPS/本)×8本のRAID6なら、読み取りは約680 IOPS、書き込みは 8×85÷6 ≒ 約113 IOPS。この「書き込み113 IOPS」で回っていた業務なら、gp3のデフォルトで7倍以上の余裕があります。移行後にストレージが遅くなる心配は、ほとんどの場合、逆方向の心配です。

現場のコツ:ストレージ装置のライトキャッシュ(バッテリバックアップ付きの数GBキャッシュ)が効いていた環境は、カタログ計算より実効性能が高く見えています。キャッシュ前提の突発書き込みが多い業務は、換算表ではなく必ず実測で比較してください。

04いちばん確実なのは、オンプレ側での実測

換算表はあくまで初期見積もりです。確定サイジングは、移行前のサーバでI/O統計を取るのが確実です。LinuxならiostatやsarでIOPS(r/s+w/s)と転送量を、Windowsならパフォーマンスモニタ(Disk Transfers/sec、Disk Bytes/sec)を、業務のピークを含む2週間収集し、ピーク値を基準にEBSを選びます。

この実測値があれば、「gp3のベースラインで足りるか、IOPS追加が要るか、io2が要るか」の判断は機械的に決まります。移行後の検証はCloudWatch側で同じ数字を見るだけです。

05翻訳時の落とし穴2つ

EMWの移行アセスメントでは、オンプレ側のI/O実測からEBS構成・コスト試算までを一式で行います。「今のストレージ構成表」を見せていただければ、初回相談(無料)で概算の翻訳結果をお返しできます。

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