「ファイルサーバをAWSに」という一言の中には、実は4つの違う答えがあります。移行先を間違えると、権限がぐちゃぐちゃになる・費用が想定の数倍になる・性能が出ない、のどれかが起きます。用途からの逆引きで整理しましょう。

014つの選択肢の正体

02Windowsファイルサーバの移行先は、まずFSx

部門共有・全社共有のWindowsファイルサーバなら、第一候補はFSx for Windows File Serverです。決め手はAD統合で、既存のNTFSアクセス権・グループ構成をそのまま引き継げること。ファイルサーバ移行の工数の大半は権限の再現なので、ここが自動で済む価値は絶大です。EC2にWindowsを立てて自前でファイルサーバを組む方法もありますが、パッチ・バックアップ・冗長化を自分で背負う理由は、特殊要件がない限りありません。

03Linux系の共有はEFS、ただし性能特性に注意

複数のLinuxサーバから共有するデータ(Webコンテンツ、アプリの共有領域、ホームディレクトリ)はEFSが素直です。容量は使った分だけ自動で伸び、複数AZから同時マウントできます。注意点は、小さいファイルを大量に読み書きするワークロードではレイテンシがローカルディスクより大きいこと。ビルドサーバのワークスペースのような用途は、EBSに置いて成果物だけ共有する方が速いことがあります。なお、EFSを別アカウントと共有する場合は、マウントターゲットのIPとAZの扱いに固有の難しさがあります。

04「実はファイルサーバでなくてよい」ものをS3へ

棚卸しをすると、ファイルサーバの中身の多くは「置いてあるだけ」のデータです。配布物・過去帳票・完了案件のアーカイブは、S3に移せば費用は数分の一になり、ライフサイクルで自動整理もできます。また、取引先とのファイル受け渡しがファイルサーバに同居している場合は、閉域ファイル共有基盤のような専用の仕組みに分離する方が、監査面でも安全です。

05移行の実務:データはDataSync、本丸は権限

データ転送はAWS DataSyncが定番です。差分同期ができるので、「初回フルコピー→業務継続しながら差分同期→切替日に最終差分」という止めない移行が組めます。所要時間は転送時間の見積もりツールで試算してください。

現場のコツ:ファイルサーバ移行の失敗は、データではなく権限で起きます。移行前に「誰がどこにアクセスできるべきか」の棚卸しを。長年の運用で崩れたACLをそのまま運ぶか、これを機に整理するかは、事前に決めておくべき論点です。

ファイルサーバの移行先判断(FSx/EFS/S3の振り分け)と権限移行の計画づくりは、EMWの移行支援の定番メニューです。現状の共有一覧があれば、初回相談で振り分け案をお出しできます。

相談する
← ブログ一覧へ戻る