Blu AgeでCOBOLをJavaに自動変換できる——これは事実です。しかしBlu Age案件が炎上するとき、原因はほぼ技術ではありません。言語、開発プロセス、テストの考え方——日本のSIの常識とBlu Ageの世界の間にある文化的な断層を、見積もりで甘く見たときに事故は起きます。Blu Ageを実際に使ってきた立場から、正直に書きます。
01技術は入口にすぎない — 本当の壁はプロセスと文化
Blu Ageの自動変換は強力で、そこはシリーズ総論で書いたとおりです。ですが、変換ツールが動くことと、プロジェクトが日本のお客様の期待どおりに進むことは、まったく別の問題です。壁は3つ——言語、アジャイル、テスト文化——にあり、どれも技術ではなく「進め方」の話です。そして進め方のギャップは、見積もりと契約の段階で顕在化しないため、後になって一気に噴き出します。
02壁① 言語 — 英語・フランス語+技術語彙
Blu Ageはフランス発の技術で、ツール・ドキュメント・エキスパートとのやり取りには、相当の部分に英語(場面によってはフランス語)が絡みます。しかも必要なのは日常英語ではなく、リファクタ・トランスパイル・マッピングといった技術語彙を含む実務レベルの言語力です。
「英語ができる人を1人アサインすれば足りる」と考えると危険です。変換の細かい挙動、パターンの調整、変換残りの議論は、技術を理解した人が現地の言葉で高速にやり取りできて初めて回ります。ここを翻訳頼みにすると、意思疎通の遅延がそのままスケジュール遅延になります。
03壁② アジャイル — ウォーターフォールでは構造的に回らない
これは好みの問題ではなく、自動リファクタという作業の性質から来ます。自動変換は「変換する→動かす→変換残りやギャップを見つける→ルールやパターンを調整する→再変換する」という反復が本質です。何をどこまで直すかは、ツールの出力を見て初めて具体化します。
つまり、すべてを事前に固めてから製造に入る日本型のウォーターフォールとは、そもそも噛み合いません。要件定義→設計→製造→テストを一直線に流す前提で計画すると、「設計が終わらないと次に進めない」のに「動かしてみないと設計が決まらない」というデッドロックに陥ります。Blu Age案件はスプリントで反復する前提で計画する——ここを曲げると工程そのものが成立しません。
04壁③ テスト文化 — コア機能テスト vs カバレッジ100%
最も金額に効く断層がこれです。欧米流(Blu Ageの世界)のテストは、コア業務機能の等価性を、自動化された回帰テストで確認することに重心があります。重要な業務パスが旧と同じ結果を出すことを、効率的に証明する。
一方、日本のSIで根強いのは網羅——カバレッジ100%、全項目・全分岐に試験仕様書という文化です。この2つは、必要な工数もスケジュールも桁で違います。同じ「テスト」という言葉で、指しているものがまるで別物なのです。
- 欧米流:コア機能の等価性+自動回帰。「重要なところが同じなら良し」
- 日本流:全網羅+試験仕様書。「全部確認しないと検収できない」
- 現新比較はどちらの流儀でもやりますが、求められる深さと網羅度がまるで違う
お客様が100%網羅を前提にしているのに、Blu Age標準のコア機能テストで見積もると、後から「試験が足りない」と検収で止まります。逆に、コア機能テストで十分な合理性があるのに日本型の全網羅を積むと、コストとスケジュールが数倍に膨らむ。どちらの流儀で受け入れるかを、見積もり前にお客様と合意することが、この壁を越える唯一の方法です。
05見積もりの事故 — ギャップを織り込まないと破綻する
まとめると、Blu Age案件の見積もりで日本型の前提(日本語で完結・ウォーターフォール・カバレッジ100%)を無意識に置くと、実態(英語仏語・アジャイル・コア機能テスト)とずれ、そのずれがスケジュール超過・コスト超過・検収不能として噴き出します。このギャップを見積もりで謝ると事故が起きる——ここは強調してもしすぎることはありません。
避ける方法は1つ、期待値を最初に揃えることです。言語体制、反復型の進め方、テストの受け入れ基準——この3点を、契約前にお客様と明示的に合意する。そして、日本語で話せてBlu Ageのアジャイル・英語の実態も理解している橋渡し役が要ります。当社はBlu Ageを実際に使い、代表はシリコンバレーで欧米型の開発文化を経験しています。日本のお客様と、Blu Ageの世界の間に立つのは、まさにこの断層を知っている者の仕事です。
—まとめ
Blu Ageのほんとうの壁は、COBOL→Javaの変換率ではなく、言語・アジャイル・テスト文化という「進め方」のギャップにあります。技術は入口にすぎません。このギャップを見積もりに正直に織り込み、期待値を契約前に揃え、両文化の橋渡し役を立てる——ここを外した案件は、どんなに変換がうまくいっても検収で炎上します。Blu Ageを検討するなら、ツールの実力と同じ熱量で、この文化の断層に向き合ってください。
Blu Age案件の見積もり・進め方の設計(言語体制、反復型の計画、テスト受け入れ基準の合意)は、両文化を知る者の伴走で事故を防げます。EMWはBlu Ageの実務経験と欧米型開発の理解で、日本のお客様とBlu Ageの世界の橋渡しをします。
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